2021/9/8

天理市長から再び奈良県への批判

【県内政治行政、医療関係の皆さまにも、ぜひ声を拡げて下さいますようお願いします】

 

今、自宅療養者の皆様の生活を支えるため、県と市町村の連携が急務です。厚生労働省や総務省をはじめ政府も、強い危機感をもって、都道府県が市町村に情報を共有し、互いに協力するよう求めています。しかし、実現していません。

 

これまでも市町村は、感染者情報が全く得られない中、学校や保育所などでも子ども達の安全を守りながら運営していくため苦心してきました。保護者の皆さまからのご連絡だけを頼りに、対応が後手に回ることで感染が広がらないか、緊張感の中で必死に対応してきました。

 

「自宅療養者ゼロ」を掲げた奈良県でも、実際には4、5百名の方が3日を超えて入院入所できず、自宅待機を余儀なくされています。全国では、9月1日時点で全療養者20万人の内13万人以上が自宅療養され、7月上旬の34倍に急増しました。

 

感染症法第44条の3第4項では、都道府県は自宅療養者の生活支援に努めなければならない、と規定されています。ですが、都道府県も対策に追われており、同6項は、「必要に応じて市町村と連携するよう努めなければならない」としています。

 

国会でも議論された結果、政府は、住民に身近な行政を担う市町村の協力が必要との認識を示され、情報提供も含めて、速やかに連携するよう8月下旬にも都道府県に再三促しました。奈良県では、この大切な事務連絡が、市町村には共有されませんでした。

 

天理市は、先日の市議会議長会、町村議会議長会、生駒市との合同要望の際にも、直ちに政府の方針に則って、市町村も一刻も早く県民をサポートできるよう体制を取ることを求めました。しかし奈良県では、パルスオキシメーターの配布時に、市町村が行う生活支援サービスをまとめたチラシの同封等に留まり、政府の趣旨に沿わない対応が続いています。パルスオキシメーターが自宅に届くまで、何日かかるのでしょうか。

 

市町村も多くの個人情報を業務上保有し、日々適切な運用に努めているにも関わらず、市町村への情報共有には「プライバシー保護」の点から問題があるかのような、奈良県の認識も報道されました。相互の信頼関係の希薄さを感じ、ただただ残念です。

 

こうした状況の中、9月6日付で、厚生労働省及び総務省から都道府県に対して、改めて通知が出されました。市町村と連携して自宅療養者への生活支援を行うこと、実施に必要な市町村への情報共有は、「一般的には、人の生命又は身体の保護のため、緊急の必要があるときの個人情報の提供と考えられる」ため、個人情報保護条例の例外規定の適用を検討することについて、協力が求められています。この通知は、地方自治法第245条の4第1項に規定する「技術的助言」と位置づけられています。

 

感染が判明した時に備えて、何日分もの食糧や生活必需品を確保されている方は、なかなかいらっしゃいません。「まさか自分が」というタイミングで、周囲との接触を突然断たれるケースが大半です。無理に、買い物のため外出されたり、別居の親族が助けに来られますと、感染拡大のリスクが高まりますが、行政の適切なサポートがなければ生活は立ち行きません。

 

天理市も、ワクチン接種業務等に職員一丸となって取り組む中、決して人員に余裕がある状況とは言えません。都道府県が、全庁を挙げて生活支援をきめ細かく行っていただけるのであれば、むしろありがたいです。しかし、入院入所の調整だけでも、体制がひっ迫していることは明らかです。私たちは、市民が現に困っておられる状況を放置する訳には参りません。

 

買い物代行や薬の受け取りなどの生活支援サポートを昨年から実施していますが、自宅待機や経過観察を急に迫られた市民の側から、支援を申請してこられることは残念ながら非常に少数に留まります。

 

「自宅療養者ゼロ」が困難となった以上、現実の課題を直視し、県民の命と暮らしを守るため市町村とも一体となって全力を尽くすことは、県の最優先の責務と存じます。感染者ご自身が、市町村への情報共有を望まない、という説明も仄聞します。しかし、感染者は誰しも不安を抱える中、情報がきちんと保全されることも含めて説明し、安心を得るように努め、支援につなげることが行政の役割だと考えます。

 

今この瞬間も、奈良県内で不安と困難の内に自宅に留まられている多くの県民の負担を少しでも軽減するため、早急に適切な対応が取られることを私達は求めて参ります。

 

天理市長 並河健

0
コメント