2020/5/21
住民不在、言語道断と議会を批判(高見前宇陀市長)
高見省次前宇陀市長のフェイスブックの発信より
市民の皆様にご報告
昨日、2020年5月15日、令和2年第1回宇陀市議会臨時会において、市長への不信任案が可決され、私は失職しました。
■平成30年4月の選挙で、市政改革を掲げてご負託を頂き、市長に就任してから2年余り、市民の視点に立った行政運営を貫き、信念を持って責務を遂行してまいりました。
過去の課題に対する見直しや危機管理を行いながら、公約に基づく施策の調査研究、企画立案を進め、令和2年度に実行するための予算を編成したところです。
並行して組織のガバナンス改革も進めてまいりました。会議や決裁など日々職員と向き合う中で、仕事の進め方や住民の視点について、意識づけを繰り返してきました。
昨年4月には、財務省から派遣いただいた副市長も加わり、公務員としての業務の進め方について指導いただきながら、人材育成や働き方改革、職場環境の改善を図るなど、内部統制のあり方を改善し、行政のレベルアップと重要政策を実行できる体制づくりを進めてきました。
この間、市内外の多くの皆様、関係各位のご支援、ご協力をいただきましたことを、心からお礼申し上げます。
■しかし、就任直後大きな事業の見直しを行った事で、それまで事業を推進してきた議員とは対立が生じました。
改革に伴う痛みではありますが、議員発議で住民投票による決着を図られたのですから、僅差であっても私の方針にご支持を頂いた住民投票の結果を重く受け止めるべきではないでしょうか。
議会と市長の歩み寄りを希望する市民のお声にも配慮し努めてまいりましたが、そうした結果には至らず大変残念な思いです。
昨年の9月議会で、市長に対する辞職勧告決議案が可決、12月議会で不信任案の動議が否決、そして今年3月に再び不信任案が出され可決されました。
なりふり構わず、ひたすら市長降ろしに明け暮れる議会。もはや議員を変えるしか改革を進める道はないと判断し、議会を解散しました。
■選挙を経て、新たな議会では、これまでの政争ではなく、常に市民に寄り添ってその生活向上のための政策論議が活発に行われるような、本来の議会に生まれ変わることを期待していました。
しかしながら、新たなメンバーで行われた初めての臨時議会において、予算や条例改正などの審議をすることもなく、再び私に対する不信任案が提出され可決しました。
しかも、今まさに新型コロナの影響、特に景気後退が本格化し、これから住民の暮らし、企業の経営環境がますます厳しくなる時期であり、また、大雨や台風のシーズンを迎える時期にです。
市長不在という自治体の危機管理体制を揺るがす状況を、議会がわざわざ作り出すことは、まさに住民不在、言語道断と言わざるを得ません。
■不信任案可決を受けて、私は失職しましたが、これまで行ってきた改革は必ず将来生きてくると確信しています。
危機管理対応によって、様々な事件やトラブルもかなり収まってきています。職員の意識や組織改革、政策のスケジュール管理や各種計画づくりの見直しなどによって、燃焼不良を起こしていた政策推進のエンジンは回り始めています。
社会的に見ても、住民投票などによって、政治や行政に対する市民の関心は高まってきています。様々なメディアによるジャーナリズムも育っていくでしょう。
■確かに、この2年、住民の皆様には異例とも思われる対応をせざるを得なかったこともありました。また、大きな見直しや危機管理対応によって一定の情報管理が必要となり、住民説明が十分ではなかった点も感じています。
住民説明や行政情報の提供について、今後更なる改善が必要と認識しています。
しかし、市政運営にあたっては、これまで一貫して市民の視点での改革を推し進めてきました。
様々な課題に直面する度に、真摯に向き合い、原因を分析し、やり方を変えていく。
リスクをとって行動し、治めていくことの繰り返しです。これをやり続けて宇陀市の可能性を広げていく、それが市長の責任だと考えています。
■私は、就任当初から、職員に対して、「情熱と責任感を持って、何事にもチャレンジしてください」と呼びかけてきました。
その事で、今年1月に令和2年度の予算査定を行った時のことを思い出します。
高齢社会を迎え、市民のご要望の最も大きな政策課題について、担当課長がいくつもの重要な企画を提案してくれました。
私を含めて同席していた幹部から、「それだけの内容を、課の今のマンパワーで本当にやれるのか。一部は次年度に回したほうがいいのでは?」と心配する声が出ました。
その時、課長が「何を言ってるんですか。すべてを実行するために、課員がこれまで必死に頑張って、関係機関や団体とも調整をつけてくれたんですよ。やらせてください!」と強く主張しました。
私は、その気迫あふれる訴えを聞いて、とても嬉しくなりました。マネージャーのもと課員全体の本気度を感じることができたからです。
■多くの方のご協力を頂きながら、いろんな種類の種を播いてきました。あちこちに芽も出始めています。市民の皆様には、その芽を育て、花を咲かせてほしい、そう願っています。
宇陀市において、社会改革はまだまだ道半ばです。また、制度・システムの見直しは、どんな時代にあっても不断の努力が必要ではないでしょうか。戦いはこれからも続きます。
2020年5月16日
髙見省次